【楽器楽語事典】木管楽器・ダブルリード(Woodwind Double Read)

Oboe オーボエ

oboe〔英・伊〕/hautbois〔仏〕

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Oboe
オーボエ。素朴で哀調を帯びた音色を持った木管楽器。

リードを二枚重ねて振動させる構造を持つ「ダブルリード」を代表する楽器がこのオーボエである。通常は円錐管・木製で、管の長さは70センチ程度。フランス語の「hart(高い、音が大きい)」と、「bois(木)」から組み合わされた、つまり「高音の音が大きい木管楽器」が語源と言われている。オーボエの音色はフルートのように軽快なものではないものの、素朴でどこか牧歌的な情緒をかもしており、何よりもカンタービレな(歌うような)旋律に適している。オーケストラではまま独奏の機会を与えられ、その鼻にかかった独特な響きが楽曲に絶妙なアクセントをもたらす。一般的に哀愁を帯びた音色としてメロディアスでマイナー調の楽曲に使われるような印象が大きいオーボエだが、強奏時の音は思いのほか鋭く、軽快な楽曲などでもこの楽器の存在意義は決して小さいものではない。DTMにおいては音源によって立ち上がりに鋭いタンギングの成分が含まれている場合があるので、レガートな曲調に使用する際は注意が必要だろう。具体的にはカットオフを調整するなどして対処すると効果的な場合が多い。

English Horn イングリッシュホルン(コーラングレ)

cor anglais〔仏〕/English horn〔英〕/Englisch horn〔独〕/corno inglese,oboe contralto〔伊〕

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English Horn
イングリッシュホルン。オーボエの同属楽器として、オーボエの中低域を重鎮する木管楽器。

イングリッシュホルンは別名「コーラングレ」とも呼ばれる、オーボエより5度低い木管楽器である。形状はオーボエと似ているが、オーボエより管が長く(1メートル程度)、ベルが球状に膨らんでいる点が異なる。運指及び楽器の構造は基本的にオーボエに等しいため、オーケストラでは常にオーボエ奏者によって演奏される。音色はオーボエによく似ているが、オーボエより更にこもった、柔らかな響きを持つのが特徴である。選択できる音数が少ないGM音源では、オーボエのバリエーションとして、またそうでなくともより柔らかい音色のオーボエ音色として代用することを検討してもよいだろう。

Basson バスーン(ファゴット)

fagotto〔伊〕/bassoon〔英〕/Fagott〔独〕/basson〔仏〕

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Basson
バスーン。ファゴットとも呼ばれる、低域を担当する木管楽器。

バスーンは「ファゴット」とも呼ばれる木管楽器で「束」を意味するイタリア語が語源とされている。2本の棒をまとめた形をしているのが特徴で、楽器の大きさも1.4メートル前後、折りたたまれた形状をしているため、全長は実に2.6メートルに達する大型の楽器である。音域は広く、実に3オクターブ以上をカバーし、低音から中音域を担当する。力強く朗々とした低域から哀愁を帯びた高域まで各音域ごとに特徴のある音色を持ち、タンギングのスタッカートはオーボエのように鋭くなく、構造上広音域へ跳躍も比較的容易に可能であるなど、オーケストラの中でも大変万能で優れた楽器のひとつであると言える。尚、更に1オクターブ低い音域を持つ「コントラファゴット」と呼ばれるものもあり、大編成のオーケストラでしばしば用いられることもあるので憶えておくと良いだろう。