使用音楽機材レビュー

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SONY MDR-CD900ST

SONY MDR-CD900ST もはや日本のスタジオでこのヘッドフォンが置いていないことはないとさえ言われている、音楽・音響業界では定番中の定番の業務用リファレンスモニターヘッドフォン。ハウジングに赤いラインが入っているのが印象的なこのヘッドフォン。アーティストのPVやレコーディングなどでこれをつけているのを見た人も多いはずです。

このヘッドフォンは1988年、ソニースタジオで使用されるために、民生用だった「MDR-CD900」新たにリファインし、「MDR-CD900信濃町スタジオモデル」として開発されたものがベースになっています。その後、その的確なモニタリング性能が話題となり、強い要望により市販されるようになったのがこのCD900STです。なお、兄弟分に「MDR-CD7506(海外仕様)」などがあります。

余談ですが、CD900とCD900STの外観上の違いはCD900がハウジングのツヤがあり、カールコードで2Wayプラグ、折りたたみ可能でヘッドバンドの表記が「DIGITAL MONITOR」となっている点だったりします(CD900STは「STUDIO MONITOR」)。

完全に業務用商品ということで、一般のオーディオ屋さんには売っていません(もっとも最近ではあまりの人気に取り扱う店も出てきているようですが)。外箱もそっけない真っ白な箱で、保証書もナシ、という明らかに民生商品とは異なる雰囲気が漂っています(笑)。

音はとにかくクリアでフラット。まさにモニター用の若干固めなチューニングがなされており、解像度の高さはピカイチです。音像と定位がしっかりとしており、作曲には最適です。特に音の分離は特筆物。正確なモニタリングや、耳コピーなどに絶大な威力を発揮します。スピード感も良好です。ただし、音場感という意味では、モニター用というその性質上、殆ど期待できないです。

楽曲の制作を始めるとヘッドフォンをかけっぱなしで何時間も、ということもよくありますが、重さも軽く(200g)、かけ心地もよいので、疲れにくいです。

同社のMDR-Z900と音は全く別物。解像度的にはZ900もかなりのポテンシャルを持っていますがCD900STはさらにその上をいきます、全体のヌケがすばらしいです。

個人的に感じたのは中域の音の安定感と存在感。ボーカルが気持ちいいくらいハッキリと聴き取れ、集中的にモニタリングする際にも十分なダイナミック・レンジをもって応えてくれるため、瞬間的に大音量で鳴らしてもまったく苦しいところを感じさせません。

逆に音が徹底的にモニター用にチューニングされているため、観賞用として使おうとすると、なんとも面白みのない音がしてしまって微妙です(笑)。モニター用と言われる、ありとあらゆる音を前面に押し出してしまうその特性上、通常のオーディオソースを長時間聴いていると疲れてしまう面も持ちますので、その点は注意が必要でしょう。

価格は定価で18000円。実売で大体15000円前後で手に入ります。ごく一般のリスナーにとってこの価格が高いか安いかは微妙ですが、音楽をするのであればこのヘッドフォンは文句なくオススメできます。普及するのには理由がある。作業効率、楽曲のクオリティーアップに一役買ってくれるのは間違いありません。