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S-studio2の智代アフター・KanonアレンジCDがM3-2013秋で頒布されます

Key作品と音楽への敬愛をこめて。

前作AIRアレンジ「千年物語(SSLA-0004)」の頒布が終わり、さあ次はどうしよう?と考え始めたのが昨年秋M3が終わった直後の2012年11月初旬。毎回やれることはすべて出し切ることがモットーな当サークルなので、次回も反省点とご意見・ご要望を反映させたアルバムにしたいなと、あーでもないこーでもないとアイデアを逡巡しながら煮詰めることひと月。結局鍵アレンジにもう一度挑戦したいと思うに至り、じゃあどのタイトルにしようかと考えた結果、今までリクエストはあったけど出来ていなかった「智代アフター」の曲をアレンジしようと決まりました。

当初は智代アフター1本で行くことも考えましたが、「色んなタイトルを1枚でおいしく聴けるアルバムを」というご意見を頂戴したことから、たくさんは無理だけどもう1本組み合わせようと考えたわけであります。鍵の初期作品と言うことで原曲の数もそれほど多くなかったこと、そして自分も大好きだったこともあって、ここで「Kanon」が候補に挙がりました。

と、ここまで考えたのは良かったのですが、「同じソフトハウスのゲームとはいえ、世界観も季節もバラバラな2本のゲーム音楽を1枚のアルバムにうまい具合にまとめられるのか?」という懸念がありました。そこでまだ時間に余裕もあったので早速1曲ずつスケッチを始めたのですが、これが違和感もなくいい感じにまとまりそうな手ごたえが得られたので、より詳細に煮詰めていくことになりました。この企画で行く最終的なGOサインが出たのが2013年1月。それからはマスターアップの9月下旬までひたすら楽曲制作の日々でした。

タイトル「トモカノ!」はもうそのままですね。智代アフターとKanonの頭文字でトモカノです。ちょっと安直かなとも思ったのですが、ストレートに伝わるかなと考えてつけた次第です。

二次創作はなにはともあれ、原作への愛と敬意こそが一番大切だと思います。この作品を聴いて、「ああ、この人は本当にKeyの作品や音楽のことが好きなんだな」って感じてもらえればうれしいです。僕の二次創作は常に原作ファンの皆さんと共にあります。苦しくも楽しい1年に及ぶ制作でした。

それでは以下、各曲のライナーノーツです。この作品が末永く皆さんに楽しんでいただけますように。

2013年11月10日 スタジオにて Azinoinosolo(S-studio2)

トモカノ! セルフライナーノーツ

Track 1 : はっぴー☆りびゅれっと! (原曲:智代アフター「rivulet」)

このアルバムで一番最初に作った曲です。原曲はピアノのしっとりした曲ですが、元気な感じに仕上げてみました。原作アレンジCD「ピアノの森」バージョンも参考にしています。作りながら「これはアルバム1曲目になるな」という予感がありました。当初、こういったポップ(?)な感じのサウンドでアルバム全体を固める予定だったのですが、スケッチを重ねていくにあたって色んな作風のものが出来上がってきて今回のような構成に。これはこれでありだと思っています。前作「千年物語」とは違ったベクトルを打ち出しそうと考えていたので、初期の段階で方向性が明確になったこの楽曲の意味は大きいです。初版からほとんどアレンジに手直しないでマスターまでいったのも僕としては珍しいパターン。バックで鳴っているストリングスのアレンジがお気に入り。

Track 2 : 雪が解けた夏の街 (原曲:Kanon「2 Steps Toward」)

Kanonの日常曲をアップテンポにしたアレンジ。アレンジとしてはトラック1のバリエーションとも言えるかもしれません。「ん?どっかで聴いたようなアレンジだな」と思われた方もいらっしゃると思いますが、Kanonの「木々の声と日々のざわめき」のリフを意識したアレンジにしてみました。終り方もそうですね。全体としては割り合いシンプルなアレンジに仕上がっていますが、いやもう中盤から難産でした(笑)。聴きどころはやはり中盤からのアドリブ風リードメロディです。前作「千年物語」の2曲目もありましたが(気づきました?)、そう、このメロディ、AIRの原作アレンジアルバム「Ornithopter」にあるアドリブメロディをリハーモナイズして鳴らしているんです。遊び心満載ですのでぜひお持ちの方は原作から探してみてください。音楽的にはやはりリハモのコードの当て方とか、リード音色のエディットとか、ピッチベンド・モジュレーションのエディットが聴きどころですかね。これらは打ち込みじゃなくて私が演奏したものです。リハモがハマった瞬間はゾクっときましたね(笑)。

Track 3 : old summer days (原曲:智代アフター「old summer days」)

個人的には「夏影」と双璧を為す名曲だと思います。当サークルのタイトルの付け方にはある程度法則がありまして、アレンジを前面に押し出した曲は原題とは異なったタイトルを、いわゆる原曲重視を意識した作品は原題ままのタイトルをつけることが多いのですが、この曲はタイトルの通り、原曲重視で作られた作品です。アルバムの中でこの曲だけ原曲重視ですが、当サークルは原曲重視の創作を源流としていて、そちらもまた聴きたいという声にお応えしたのと、いやもう、原曲が完成度高すぎるし好きすぎてもうこの曲は原曲重視でやらせてくださいお願いします!といった感じでやらせてもらいました(笑)。原曲よりはもう少し主張するようなミックスで、採譜は手前味噌で恐縮ですがほぼ完璧に音を取れていると思っています。地味に重なった音とか色々鳴っていて完全採譜は難しいんです、この曲。オーケストラ系の音源が自分の環境では弱いのでそこも苦労したのですが、この作品の鬼門はウィンドチャイムでした。DTMをされている方ならお分かりだと思いますが、ウィンドチャイムってほとんどの音源は高音から低音に向ってシャラシャラと鳴るんですよ。でもこの曲は低音から高音のウィンドチャイム。探すのにすごく苦労した記憶があります。でも作っていてとても楽しかったトラックです。

Track 4 : promise in the lounge (原曲:Kanon「約束」)

ラウンジというかスウィング調なまったり音楽。聴くのは好きなんですが、こういう感じの曲を作るのって割と珍しくて新鮮だった反面、色々苦労させられたところもありました。まず音色選び。ビブラフォンの他にもエレピ、トランペット、トロンボーン、サックス……などなど、どんな音でもメロディを張れる分だけ選択が悩ましかったのと、全体のミックスをウォームな感じにするのが大変でした。結局ビンテージ系EQやテープシミュ・サチュレーター系を駆使して空間系を処理するのにかなり時間を費やしました。実はエンディング部分はトランペットなどの音を使って完全なジャズ風アドリブを入れようかと画策したのですが、あまりに主張が強すぎて二次創作っぽくなくなってしまったので、最終的にはシンプルなベル系の音を鳴らす方向に落ち着きました。アルバム中盤のこの曲は、前半後半の空気を入れ替えるという意味でも意味のある曲としても機能しているのでは?と勝手に思っているのですがいかがでしょうか。この曲を作る動機になったのが、Key作品と全然関係ないですがRei Harakamiさんの「Bioscape」という曲だったりします。ご存知の方は「あー(笑)」って言ってくださると思います(笑)。アンビエンス大好きっ子なんです。

Track 5 : afterglow snow (原曲:Kanon「残光」)

原曲より少しテンポアップした、アコギとブレイクビーツを使った楽曲。この曲はアレンジしたい!と手を付けてみたはいいものの、なかなか攻めあぐねました。……って、すんなり曲が出来た試しなんてほとんどないんですけどね(笑)。次のトラックでも後述しますが、ギターの打ち込みが昔から本当に苦手で、以前よりサイトにお越しくださってる方はご存知かと思いますが、ウチの作品、ギターを使った曲ってほとんどないんですよ。のらりくらりとかわし続け今日まで生きてきましたが(笑)、いよいよやらないわけにはいかず、とうとう観念して今回挑戦してみたのがこの曲とトラック6だったりします。曲としては神秘的な雰囲気は残しつつ、冬の冷たさより暖かさを表現できたらいいな、なんて思いながら制作しました。制作前半に作られた楽曲と言うこともあって、前作「千年物語」の雰囲気を少し残したアレンジになっています。シンプルに聴こえるかもしれませんが、後ろで鳴っているピコピコした音とか何気にかなりの数の音色を使っています。音屋的な話をすれば、使っている音源はCakewalk(Roland)「Rapture」とKORGの「wavestation・M1」、Steinberg(YAMAHA)「HALion4」あたりがメインという、国産PCMシンセ万歳な曲になっています。あと、前作「千年物語」ではアルバム全体を通してパッド音色を意識した音作りをして統一感を持たせましたが、今回は全曲に渡り色んなところでウィンドチャイムを使っています。そこら辺を意識して聴いてみるのも面白いかも。完成してからもテンポが気に入らず、一から再録を迫られたりと、色々時間がかかった曲でした。それでもPCベースになって昔に比べればはるかに楽になっているんですけどね。

Track 6 : 同じ時間を (原曲:智代アフター「worth living」)

本アルバム最大の難曲。原曲はスローテンポな曲ですが、バンドサウンドに仕上げてみました。当初4ピースバンド構成を考えていたのですが、譜割がヘタクソであれよあれよとパートが増えまして、結局「CD版豪華バージョン」という都合のいいイメージでそこら辺は意識しないで作る感じになっちゃいました。この曲の着想になったのは原作のリトバスアレンジCD「Rockstar Busters!」に収録されている「伝えられないメッセージ」という泣きのロックアレンジ曲です。この曲のアレンジが好きすぎてなんとかこんなアレンジができないものかと試行錯誤してみたのですが、トラック5でも書いた通りギターはもちろんバンドサウンド自体、打ち込みでは手を出したことがなかったので本当に苦行でした。マルチ音源では限界を感じ、この曲のためにストラト音源とかドラム音源に新たに手を伸ばす始末……演奏しているっぽい雰囲気とか、ギターエフェクトとか、こりゃもう生ギターで録音するなり、打ち込むにしてもギターが弾けないと話にならない感じです。誰かギター教えてください!(笑)ドラムについては、仮オケをレンタルスタジオに持って行って、鳴らしながら実際に自分で生ドラム叩いて譜面を作ったうえで、スタジオで録ったラフ音源と譜面を元に打ち込みに戻すというステップを踏んで作りました。自分が叩けるレベルの譜面と叩いて気持ちがいい感じに仕上がっています(笑)。意味があるんだかないんだか分からない行為ですが(笑)。でもまあ、アルバムの中にあって一番アレンジらしいアレンジ曲と言えるかもしれません。そういう意味ではS-studio2では相当レアなアレンジですが、頑張って作ったので気に入ってもらえれば幸いです。そのうちまたリゾンベ……じゃなかった、リベンジしたいです!

Track 7 : twilight tears (原曲:智代アフター「harmony」)

原曲もスローなピアノ曲ですが、少し肉付けをした切ないブレイクビーツアレンジにしてみました。原作では後半少しメロディのあるバージョン「harmony with sorrow」もあるんですよね。興味のある方はぜひオリジナルサントラを。トラック5のバリエーションと言った感じです(Kanonと智アフ、両方ブレイクビーツをやりたかった)。トラック1と2、5と7が対になっています。ウチの楽曲では珍しくサンプラーのボーカルが味付けとして入っていて、曲を制作している時になんだか黄昏色に染まる部屋のイメージが思い浮かびました。特筆するアレンジではないかもですが、自分としてはここ数年の中で一番の快作です。こういうアンニュイなアレンジ本当に大好きなんですよ。ものすごくこだわって細部まで調整していますので、スピーカーはもちろん、音の良いヘッドフォンでも大きな音で聴いていただきたいです。勝手にお名前を出すのは憚れるので控えますが、後半、ピアノと一緒にメロディラインに使われているベル系の音は、あるソフトハウスの著名なサウンド担当の方にアドバイスをいただいて音色を教えていただきました。気に入っているので僕の曲では頻繁に使われています(笑)。というわけで、シンプルながらもイチオシの曲なのです。

Track 8 : らすりぐ! (原曲:Kanon「Last regrets」)

言わずもがな、Kanonの名曲、主題歌「Last regrets」のインスト4つ打ちアレンジです。前評判でもこの曲が気に入ったと言ってくださる方が多かったのですが、この手の曲をかっこよく聴かせるのって本当に難しいですね。僕が作るとどれも4つ打ちは似たような単調な感じになってしまうので、そうならないように色々頑張ってはみたのですがどうでしょうか?アルバム自体がインストなので、この曲は元が歌モノということもあって、当初はこの曲をアレンジする予定はなく、実は「pure snows」として作っていたのですが、どうにもおさまりが悪く、その「pure snows」で 作ったシーケンスをリビルドして出来上がったのがこの「らすりぐ!」になります。この曲のためにメロトロンの音源買っちゃいました!(テヘッ♪)毎回そうですが、アルバムの曲順はとても気を使って決めていて、今回も爽やかに終わって、トラック1に戻って再生してもスムースに聴いていただけるようにこの曲が最後を飾る形になりました。

再販大好評につき定期的に予約取り寄せ販売を実施中!

再販希望のご要望にお応えしまして過去数回に渡りとらのあなでの予約お取り寄せ販売を実施してまいりましたが、
おかげさまで大変ご好評をいただきましたため、今後も定期的に実施させていただくことになりました!

音楽サークル「S-studio2」がこれまで発表してきたその他の旧譜も含めて現在の取り扱い状況について一覧で確認できるページをご用意しております。実施していない期間もございますが、今後も定期的に予約販売を実施いたしますので、お求めの方はぜひ定期的にチェックしてゲットしてください!

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