さて今年も夏がやってまいりました。夏といえば年に一度の礼拝(?)行事、
ドラクエのコンサート。一日経ちましたが、恒例のレポートを。
「第23回ファミリークラシックコンサート~ドラゴンクエストの世界~」。
今年も変わらず場所は東京芸術劇場、演奏も東京都交響楽団。
このコンサートもすっかり有名になってしまってプラチナチケット化してしまってる
ようですね。今年もS席をゲットできたのでよかったですが、そりゃもう争奪戦みたい
です。10年以上足しげく通っていますが、客層も変わってきてる気はします。
まずは、もはや恒例のこの写真をどうぞ(笑)。例年より少し後ろから撮ってみたどー!
演目は「ドラゴンクエストIX~星空の守り人~」で、本邦初演。
まだCDも発売されていないので、すぎやま先生曰く私たちが初鑑賞者だそうです。
今回、ゲームの発売日とコンサートの日が近かったので、あえてゲームをプレイせずに
このコンサートに臨みました。本編の先入観なく聴いてみたかったのです。
昨年の演奏がちょっと残念だったので心配していたのですが、今年は線も揃っていて
好演奏でした。9の組曲自体、初観賞なので採点はやや甘めですが(笑)。
会場に入ってすぐ目に付いたのは、やはりというか何と言うか、DS持参のお客が多い
こと。というか、ちょっと引くくらいDSだらけでした。
ある程度予想はしていましたが、それにしても本当に見渡す限りDSを開く人、人、人。
2000人会場ですが、感覚的には7割近くが持ってたんじゃなかろうか。
「ここ、コンサート会場だよな?」と一瞬疑ってしまうような状況でした。
すれ違い通信はさぞ盛り上がったことでしょう(笑)。
すぎやま先生もお元気そうでなにより。コンサート前の先生のインタビューや会場の
写真など、GameWatchに記事がありますので、そちらもご覧下さい。
◆スギヤマ工房「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」全曲を演奏(GameWatch)
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20090805_307398.html
肝心の楽曲についての感想ですが、詳細を語りだすと1エントリーで終わる気がしない
ので、総評という形で。ですが、とりあえず序曲のイントロが変わったことは書かない
わけにはいかないでしょう。
4から19年使われてきた「序曲」のG音のファンファーレが今回から変わりました。
より広がりが出てエンタテインメント性が出たアレンジに仕上がっています。
イントロについてはだいぶ印象が変わった感じがしますが、実は最初の動機こそ新たに
Fからを基音に始まってますが、その後はこれまでの序曲のイントロと同じ音を使って
分解和音で構成されていたりします。この辺、見事というほかありませんな。競馬の
ファンファーレなど多数手がけている先生ならではの手腕を垣間見ることができます。
その後の展開は8の序曲と一緒です。すなわち、1度目は5以降のマーチアレンジ、
リピートでは4のベース三連符バージョンの組み合わせ。アウトロ部の1stバイオリンが
オクターブ上をユニゾンするのも7からおなじみの手法。
序曲は伝統もあるので感情論や好みも影響するとは思いますが、それらを差し引いて
ソルフェージュしていくとその計算された技巧を堪能できると思います。
……はい。このように語りだすと止まらないので(笑)、以下ざっくりとご紹介。
今回面白かったのは「酒場のポルカ」でハンドクラップが登場したことです。
ドラクエのオケでハンドクラップが登場したのは確か初めてかと思います。
前からこの曲のハンドクラップ(手でチャチャチャと叩く音)は生演奏時にどうする
のかと思っていましたが、演奏中、やにわに金管パートが一斉に立ち上がったと
思ったら、とつぜん斜めにポーズを決めて手を叩きだしたではないですか(笑)。
ちょっとおすまししたポーズに爽やかな笑顔でチャッチャッチャッ。パーカッションの
皆さんもチャッチャッチャッ。これには会場も大ウケで、先生も奏者もかなり楽しん
でましたね。笑顔もステキです、先生!
続いてお城の音楽。ドラクエのお城の音楽のタイトルは伝統的に「王宮の○○」と
付くことが多いです。王宮のロンド、メヌエット、トランペット、ホルン、ガヴォット
……などなど。そして今回はオーボエ。「王宮のオーボエ」です。弦も金管もこれまで
やってきて遂に木管の登場です。プレイ済みの方も多いでしょうし曲は説明いらない
ですな(笑)。初めてでも安心して聴ける音楽、それがお城の音楽です。
あと、今回珍しい楽器として「チンバッソ」という金管楽器が登場しました。
いわゆるトロンボーンの仲間なんですが、私も生でお目にかかったのは初めてで、
貴重な体験をさせてもらいました。このチンバッソが今回特別に使ったのか、
チンバッソ前提で曲を作られているのかは現段階では分かりませんが(先生は
コンサートでは遊び心でよく楽器を変えられるのです)、楽しませてもらいました。
最後にアンコールですが、今回は「海図を広げて」と「そして伝説へ」でした。
長くコンサートに通っている経験から言うと、アンコールに海の音楽を採用する率が
異常に高い気がしますが、理由が気になりますね(笑)。まぁ今回の海の曲はちゃんと
理由があってやったのは知っていますけども。余談ですが、個人的にドラクエの海の
テーマの中ではこの「海図を広げて」が一番好きだったりします。この二曲は大拍手
を持って歓迎されてましたし、演奏もなかなかの佳作でした。
今回の9の組曲ですが、前情報で聞いていた通り、過去のシリーズのモティーフ
(メロディなど)を展開したメロディラインも散見され、賛否あるでしょうがなかなか
楽しめるプログラムになっていますね。
8から出てきたこういった手法について違和感を感じる方もいるとは思いますが、
むしろ過去の素材をこれだけ上手く料理できる作曲家はそうそう居なく、もっと評価
されていいと思うんですけどね。気付いてない人も多いかもしれませんが、8以前から
以前の楽曲のモティーフを弄って再出典するというのはこれまでも行われてますし。
すぎやま先生に「色んなモティーフが出てたとは思いますが……」とのMCを言われた
ときの「えっ……(他のシリーズの曲なんか入ってたっけ)」っていう周りのお客の
反応に大変がっかりしました(苦笑)。お宅ら、ほんとにシリーズやってきたのかと。
ちゃんと音楽聴いてプレイしなさいよと。
ともかくまぁ、そんな感じで懐かしいメロディラインも展開されている組曲に仕上がっ
ていて、オールドファンも楽しめると思います。全体的に曲想の広がりと、縦の線を
意識した作風に仕上がっていると感じます。8の作風をより推し進めた感じですね。
ゲーム音源だけでなく、発売されたらぜひオケ版も聴いてもらいたいです。
またこの日にあわせてシンセサイザー&オリジナル音源サントラも発売したそうで。
まだ買ってはいませんが、上の記事によるとすぎやま先生ご自身のMIDI打ち込みで
ご自身所有の音源(JV-2080、Proteus/2、KORG M1)を使っているとか。DTMを
ちょっとやってる方なら知ってる音源ですし、ニンマリできるかもしれません。
というわけで、今回も楽しませていただきました。
今年もまた元気を分けてもらったことに感謝しつつ、頑張っていこうと決意を新たに
したのでした。