最近、楽器の話とかしてないなぁ……ということで、今日は久しぶりにそんなお話を。
KORGが久々にワークステーションシンセを出してきたのでご紹介します。
◆KORG M50
http://www.korg.co.jp/Product/Synthesizer/M50/
(店頭予想価格)
M50-61(61鍵仕様) :99800円前後
M50-88(88鍵仕様) :168000円前後
来年春には73鍵モデルも出す予定みたい。……76鍵じゃないのが不思議(笑)。
値段は間を取って134800円とかになるのかな。分からないけど。
88鍵モデルのみ、セオリー通りウェイテッド鍵盤(ピアノのように重い鍵盤)。
ということは、73鍵モデルはもう少し安いかもしれないですね。
毎年この時期は各楽器メーカーの新製品ラッシュなわけで続報が待たれますが、
おそらくソフトシンセやDAWがメインになることが予想されるなかにあって、
KORGがハードシンセを出してきたのは興味があります。
さて、それではさっそくファーストインプレッションを。
このところKORGのワークステーション系シンセは超高級機のOASYSとエントリー
向けのTRが現行機種で、ミッドシップやフラッグシップ系シンセがなかったのですが、
今回ここを間を埋める形で出てきました。ニーズはありますからね、正解でしょう。
価格こそ昔に比べて抑えた設定になっていますが、これは今時ハードで高い価格設定
にしても売れないという考えからの戦略だと思われます。
まずデザインですが、個人的に好きな感じです。モダンなんだけど、なんか懐かしめ
の雰囲気を醸し出したデザイン。特にボタン周りとかなんとも言えない味を出してい
ます。重量もこの手のシンセとしてはかなり軽いのもGOODです。
最近この手のデザインが多いKORGですが、個人的嗜好だけどいい感じですね。
見た目ですぐ気付くのが液晶。
Trinity/Tritonでおなじみの白色液晶がなんだか懐かしいですね。
もちろん、タッチビュー付き。なんだかホッとします(笑)。
波形容量は16ビット・リニア換算時で256MB。これはRolandのFantom-XRと同等。
KORG伝統の48KHzサンプリングも健在です。48KHzサンプリングはKORGの美学です。
(他メーカーは殆どが44.1KHzオーバーサンプリング)
気になるのは最大同時発音数がダブルで40音、シングルでも80音しかないこと。
DSPが重いんでしょうか、ハードシンセで128音が初めて実現してもう10年くらい
経ちますが、いまだに64音の楽器が多く、LSIの集積度の向上も考えると128音を
実現するのはそんなに難しいとも思えないのですが、これで十分と考えているのかなあ。
16ティンバーのシーケンサーが付いたワークステーションであるということを考えると
ここのスペックだけは少し心配。まあ64音よりは多いので、まだマシですけどね。
個人的にはダンパーを踏んだ状態でフルグリッサンドしても(まずしませんけど)
音切れのない88音をひとつの目安に頑張って欲しいところです。
シンセエンジンは最近のKORGらしく、アナログ系のフィルタを駆使した、
EDS(Enhanced Definition Synthesis)音源を採用。
EDS音源は私も絶賛した(というか今でも欲しい)KORG M3で実装された音源で、
こいつの扱いやすさと出音の良さは特筆できると思います。近年稀に見る優秀な
音源かと。特にアナログ(デジアナ)を弄る人間にはたまらないものがあるので、
これをPCMに応用して、今回も採用したのはKORGグッジョブだと思います。
EDS音源を採用したということは、当然マルチティンバー以外にパフォーマンスモード
での利用が期待されるわけですが、最近のトレンドであるデュアルアルペジエータや、
複音和音展開も可能なポリフォニックアルペジエータも入っていて、ライブパフォー
マンスから楽曲の核で鳴らすような使い方まで応用範囲は広そうです。
全体的には目新しいものを詰め込むというよりは、ワークステーションとして質実剛健
な作りを目指したといった印象を受けるシンセです。これを中核に必要に応じて個性的
な音源を並べることで、制作に幅が広がりそう。素養は良さそうです。
というわけで、かなりざっくりな紹介になりましたが、価格も昔からすればとても
安くなってきていますし、とりあえずマスターシンセを、という向きにはオススメ
できそうなモデルです。気になる方は是非一度楽器屋さんで触ってみてはいかがで
しょうか。
以前から「もはやPCMハードシンセは、波形容量ではソフトシンセに勝てない時代が
きたわけで、無理に競合せずにハードシンセは新たな方向性を模索すべきだ」という
ことを私はこの日記で主張しているわけですが、メーカーもやっと方向性が見えて
きたのかな、と感じます。良い進化の方向性ではないでしょうか。
個人的にはこの方向性で、ソフトではできないハードならではの進化を続けていって
欲しいと願っています。
ソフトにはソフトの、ハードにはハードの良いところがあるのですから。