【楽器楽語事典】鍵盤楽器・ピアノ音色(Piano)

Piano ピアノ

pianoforte〔英・仏・伊〕/Klavier・Hammerklavier〔仏〕

001
Acoustic Grand Piano
グランドピアノの音色。DTM音源に関してはこの音でその機材の大まかなクセ・質感・特徴を把握することができる。各メーカーは一番最初のこの音に一番いい音を持ってくることが多い。音色はクセが少なく、クラシックからポップス、ジャズに至るまで幅広く使われる。
002
Bright Acoustic Piano
GM〔001〕のバリエーションで、グランドピアノより明るめの、華やかな音色をもつピアノ 。比較的安価なソフトMIDIシンセなどでは、GM〔001〕のグランドピアノとの差が感じられにくいこともある。

元来の名は「ピアノフォルテ」。以前から存在していた鍵盤楽器であるハープシコード(チェンバロ)と比べて強弱を自由にできることからつけられたものだが、発明された当時は「フォルテピアノ」とも呼ばれていた。音域は<下2点い>から<5点ハ>までの7+1/4オクターブ、鍵盤数88鍵(88音)が標準である。ただし、電子ピアノやシンセサイザーなどに限っていえば、それよりも鍵盤数の少ない76鍵、61鍵、49鍵といった製品もある。ピアノの音は、出された瞬間から減衰を始め、鍵盤から指が離れてダンパーが下がり、弦の振動を押さえたときに鳴り止む。また、ピアノにはペダルがあり、右側にあるダンパー・ペダルを踏むとすべてのダンパーがいっせいに弦から離れ、鍵盤から指を離しても音が持続するほか、すべての弦も共鳴を起こして音の響きが豊かになる。左側の弱音ペダルを踏むと音量が落ちるが、グランドピアノとアップライトピアノ(縦型ピアノ)ではその機能がまったく異なる。ピアノは音域が広い上に和声楽器、旋律楽器の両方の要素を兼備しており、独奏楽器としてはもちろん、伴奏、合奏のいずれにも非常に高い能力を示している。ジャンルを問わず幅広く使われていることからも、昨今の音楽のすべての基本はこのピアノに集約されているといって間違いない。

Electric Piano エレクトリック・ピアノ

electric piano〔英〕

003
Electric Grand Piano
スタンダードなエレピ音色。ピアノの中でも軽くジャラジャラしている音が特徴。
004
Honky-tonk Piano
ジャズで使われる、高音域は高めに、低音域は低めに調律されているピアノ。
005
Electric Piano 1
フェンダー社のRhodes(ローズ)をイメージした感じのエレピ。フュージョンでよく使われる。
006
Electric Piano 2
GM〔005〕のバリエーションで、エレクトリック・ピアノ1より柔らかい音がする音色。

通称エレピ。基本構造は鍵盤を押すことで音源部が発音し、これを増幅してスピーカーから音を出す。このすべてが一体となっている楽器をエレクトリック・ピアノ(電気ピアノ)と呼んでいる。この「電気」ピアノ(エレピ)と「電子」ピアノが混同されがちだが、アコースティック・ピアノと同じように、ハンマーが音源を叩いて、ピックアップがこの音を拾い、電気的に増幅させるのが電気ピアノ。鍵盤を弾くところまでは同じだが、その種類や強さなどをセンサーが検知し、そのデータを音源に伝えて、さらにその音源データを増幅するのが電子ピアノである。もともとはフェンダー社のRhodes(ローズ)が独特な音色で一世を風靡し、フュージョン系のミュージシャンの間でエレピの代名詞のように使われたが、昨今の一般的な名機として知られるのはヤマハのCP80である。CP80はよりアコースティック・ピアノに近い音色が出ることが好まれ、ロックからジャズまで幅広い音楽に用いられており、今でもその音色的使用頻度は高い。ちなみにホンキー・トンクピアノの「ホンキー・トンク」の本来の意味は、「安酒場」「安キャバレー」、場末の演芸場、娼家などの意味をもっていたが、ジャズ創生記にニューオーリーンズの娼家で演奏されていた即興演奏の特色、あるいはジャズの本質をつかんだ演奏そのものを指す言葉である。

Harpsichord ハープシコード(チェンバロ)

harpsichord〔英〕/cembalo〔伊・独〕/clavecin〔仏〕

007
Harpsichord
別名「チェンバロ」の名で知られる。クラシックでよく使われる、独特な音色をもった鍵盤楽器。

ルネッサンスからバロック時代に特に重用された鍵盤楽器のひとつで、ピアノの基となった。発音機構はピアノとは異なり、打鍵すると側面に爪のついたジャックと呼ばれる部分が持ち上げられ、その爪が弦を引っかいて音を出す。出される音は、小さな音量、短い持続時間しかもたない。そのため、装飾音を多用した音楽が作曲された。また、タッチの違いが音量や音色にほとんど影響を与えないため、いくつかのストップ(音栓)を交換させたり、それらを組み合わせることによって変化をつける。その後、音量・音の持続時間・音質変化に優れたピアノの登場により鍵盤楽器の主流からは退くことになるが、その哀愁を帯びた独特な音色は、現代音楽においても多用されている。この楽器の仲間に「スピネット(spinet〔英〕)」といったものもある。

Clavinet クラビネット

clavinet〔英〕

008
Clavi
クラビネット。ハープシコード(チェンバロ)似た歯切れのよい音が特徴の鍵盤楽器。

通称クラビ。1960年代の初期に作られた電気楽器の一種。鍵盤を弾くことで楽器内部に張られた鉄弦はじき、その振動をピック・アップで拾い電気信号に変換、アンプで増幅してスピーカーから音を出すという点で、電気的に音を合成するシンセサイザーのような電子楽器とは原理的に区別される。同様の発音機構をもつアコースティック楽器のハープシコード(チェンバロ)に似た歯切れのよい音で、主にリズミックなバッキングに用いられる。ステージ用など、パフォーマンスに適した小型モデルでは5オクターブ半ほどの音域を持つ。ここで気をつけたいのは、「クラビ」という略称には語源となる言葉(楽器)がふたつあり、ひとつは本項の「クラビネット」で、もうひとつは「クラビコード(clavichord〔英〕)」と呼ばれる古くからある打弦楽器であり、まったく別物の楽器であるということだ。一般的にはクラビといえば本項のクラビネットを指すが、注意が必要である。ちなみにこの「クラビコード」は、ハープシコード(チェンバロ)同様、音が小さいため大編成の合奏などには適さず、主に小編成での演奏に使用されることが多い。