【楽器楽語事典】撥弦楽器・ギター音色(Guitar)

Acoustic Guitar アコースティック・ギター

guitar〔英〕/Gitarre〔独〕/guitare〔仏〕/chitarra〔伊〕/guitarra〔西〕

025
Acoustic Guitar (nylon)
ナイロン弦・アコースティック・ギター。ガット・ギターとも呼ばれる。
026
Acoustic Guitar (steel)
スティール弦・アコースティック・ギター。弦に鉄製のものを使用したギター。

ナットとブリッジによって支えられた弦をはじくことによって発音する、こんにちにおいてピアノとともにもっともポピュラーとされる有棹弦楽器のひとつ。通常は6本の異なる太さの弦を使用し、この弦の振動を共鳴胴(ボディー)によって増幅する。弦の種類や数、ボディーの形状、演奏法などによってその呼称・種類は種々雑多で、一般的にはただ「ギター」という場合は「アコースティック・ギター」のことを指す場合が多い。シンセサイザーでギター奏法をシミュレートするのは高度な技術が必要とされる。特に打ち込みのみによるシミュレートはさらに高い技術を要求するので、ケースに応じて適宜リアルタイム入力などを用い雰囲気を出していったほうがDTM初心者には比較的楽にシミュレートできる場合も多い。最近のシーケンサーにはこのギターの独特な「ノリ」を手軽に再現する機能が付いているものもあるので併用するのもよい。音色は独特な響きを持つが減衰が早いので、リバーブなどを強めにかけるとよりきれいに響く。また、ギターをメインで聴かせる場合には併せて「GM〔121〕Guitar Fret Noise」を用いて手でフレットを擦っている感じを出すと効果的である。尚、GM〔026〕の「アコースティック・ギター(スティール)」とは別に、「スティール・ギター(steel guiter〔英〕)」という名称のギター楽器が実在するのでこれには特に気をつけなければならない。GM〔026〕にプリセットされている音色は、あくまでスティール弦を張ったアコースティック・ギターをDTMにおいて便宜上そう呼んでいるだけなので、GM〔026〕の音色を日常で「スティール・ギター」と呼ぶことは避けるべきだろう。ちなみにこの「本家」スティール・ギターは別名「ハワイアン・ギター(Hawaiian guitar〔英〕)」と呼ばれ、ギターとは違い鍵盤楽器を思わせる形状をしており、指で押弦するのではなく、スライド・バーと呼ばれる金属の棒で弦を押さえ、音程をコントロールする楽器である。

Electric Guitar エレクトリック・ギター

electric guitar〔英〕

27
Electric Guitar (jazz)
ジャズ音楽での使用を想定してシミュレートされたエレキ・ギター。
28
Electric Guitar (clean)
特殊なエフェクトを施さず、楽器そのままの音色を出すエレキ・ギター。
29
Electric Guitar (muted)
音色というより奏法として使われる、指などでギターを押さえて音を響かなくした音色。
30
Overdriven Guitar
「オーバードライブ」というエフェクトを通し高域を意識した歪みのあるエレキギター音色。
31
Distortion Guitar
「ディストーション」というエフェクトを通し中低域を意識した歪みのあるエレキギター音。
32
Guitar Harmonics
音色というより奏法として使われる、ギターの共鳴音だけをとりだした音色。

エレクトリック・ギターは通称「エレキ・ギター」と呼ばれ、アコースティック・ギターとは違いピックアップによって電気信号に変換し、アンプとスピーカーを通して増幅する構造を持つものである。従ってアコースティック・ギターのように電源を使わずに奏するのにはむかないが、逆に言うと電源を通して音を増幅するため、アコースティック・ギターで出せない豊かな音量を得ることができるのが特徴である。また、アコースティック・ギターとは違って弦にナイロン製ではなく、主に鉄製の弦を用いるため、減衰はするものの、調整すれば音をある程度伸ばすことができる。また、ガット・ギターに代表されるアコースティック・ギターは主に単独ソロでの演奏に用いられるのに対し、エレキ・ギターは単独ソロ演奏のほかに複数本のギターを使ってアンサンブルしたり、バッキングでのリフ(バックで刻まれる1,2小節程度の単純パターン奏法)としてもよく使われる。エレキ・ギターを複雑多種にしている理由のひとつに、音色のバリエーションの数がある。「エフェクター」と呼ばれる外部装置(ギターに内蔵されている場合もある)を用いることで、音色を自在に変えることが出来るためである。DTMにおいては曲によってジャンルを意識することなく、曲調にあったギター音色・エフェクトを選択しても問題ない。その性質上、音色にこれといった規定がないため、作りこみ甲斐がある音色ともいえる。

Bass Guitar ベース・ギター

bass guitar〔英〕

33
Acoustic Bass
アップライト・ベース、ウッド・ベースとも呼ばれる、ジャズなどで用いられるベースギター。
34
Electric Bass (finger)
エレクトリック・ベース・ギター。弦を指で弾いた音をシミュレートしたもの。
35
Electric Bass (pick)
ピックと呼ばれる小さなプラスチックの板で弾いた音をシミュレートしたエレキ・ベース音色。
36
Fretless Bass
その名の通りフレット(鉄製の節目)がない独特な柔らかい音色を持つベースギターの音色。
37
Slap Bass 1
スラップ奏法と呼ばれる、弦を指で叩いたり引っ張ったりしたエレキ・ベース音色。
38
Slap Bass 2
GM〔037〕のバリエーション。減衰の早いブリリアントの低めな音色が配置される事が多い。
39
Synth Bass 1
シンセ・ベース・ギター。シンセサイザーでシンセサイズ(加工)されたベース音色。
40
Synth Bass 2
GM〔039〕のバリエーションで、アサインされる音はメーカーによって差が大きい。

通常のギターより1オクターブ低い音を出すための太い弦を張ったギター。弦の状態を保つために、ネックの長さは通常のギターより大分長くなる。アコースティック・ベース・ギター、エレクトリック・ベース・ギター共に、基本構造はアコースティック・ギター、エレクトリック・ギターと同じであり、端的に言ってしまえば通常のギターをそれぞれ低音に特化させたギターと言える。通常はウッド・ベースと同じように低音側の弦4本だけを張るように作られているが、かつてはギターと同じく6本弦を使用するものも使われていた。ちなみに90年代に入ってから使われだした5弦ベースは、4弦のベース・ギターのさらに下の音域を出すための弦をプラスしたもので、クラシックで言うところのコントラバスと同じ考え方をしている。尚、ベース・ギターは通常のギターとは違い、主に単音で奏することが前提の楽器なので、DTM使用に際しては意図して使うとしても、コード和音を鳴らすような使い方は極力避けるべきである。