【楽器楽語事典】鍵盤楽器・オルガン音色(Organ)

Organ オルガン

organ〔英〕/Orgel〔独〕/orgue〔仏〕/organo〔伊〕

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Drawbar Organ
通称足踏みオルガン。ドローバーというレバーのついたオルガンで、ごくスタンダードな音色。
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Percussive Organ
アタックが強めで、長音演奏より短いパッセージ演奏に適したオルガン音色。
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Rock Organ
主にロックで使用されるような、独特なグルーブ感を持つ、太めな音が特徴の音色。
020
Church Organ
教会で使用される、いわゆるパイプオルガンを模した、荘厳で豊かな響きを持つ音色。
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Reed Organ
パイプを使用せずにフリー・リードを使用した小型オルガン。温かみのある音色。

オルガンは本来オルガン・パイプを発音源とする鍵盤楽器の総称で、ただ単にオルガンといえば通常はパイプ・オルガン(Pipe Organ)のことを指す。したがってその種類は多く、19世紀以後に発達したリードを発音源としたリード・オルガン(Reed Organ)や20世紀に発展した電子オルガン(Electronic Organ)まで含まれることもある。オルガンの語源はギリシャの「organon」、「組み立てられた道具」からきている。パイプ・オルガンは多数の管に空気を送り込み、管内の空気かリードの振動によって発音する。2段以上の手鍵盤(マニュアル)と1段の足鍵盤(ペダル)をもち、空気を送り込むパイプを選択するストップ(スイッチ)の切り替えによって、音色や音質を変化させる。パイプ・オルガンはその構造上非常に大きく、原則として持ち運びはもちろん、移動ができないものがほとんどで、コンサートホールや教会など建造物に常設されるのが一般的である。オルガンの音色は他の楽器には見られない独特なもので、オルガンの種類により様々な音色が存在するため一概には表現できないが、全体的に響きが・音量ともに豊かで、音色もやわらかく、独奏・合奏どちらにおいても有効に機能する鍵盤楽器ということは言えるだろう。逆に音量の変化には乏しい一面を持つので、DTM制作ではその点に注意が必要である。

Accordion アコーディオン

accordion〔英〕/Handharmonika・Ziehharmonika〔独〕/fisarmonica〔伊〕

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Accordion
アコーディオン。持ち運びが容易で電源を必要としないリード・オルガン属の鍵盤楽器。

手でふいごを操作するリード・オルガン属の鍵盤楽器。手風琴ともいう。1820年代にドイツで発明され、持ち運びに便利な歌や踊りの伴奏楽器として重宝された。右手で奏する主に旋律を受け持つ部分が鍵盤になっているピアノ式アコーディオンと、すべてボタンのボタン式アコーディオンとがある。鍵盤は通常41鍵以下で、右手で奏する部分にはベースとコードが鳴るボタンになっている。ふいごの操作により空気を送り込む量を加減することで微妙なニュアンスをつけることができる。日本では”懐メロ”伴奏楽器や演歌の伴奏楽器のような印象が強いが、代表的なジャンルはミュゼット音楽(パリなどのダンスホール音楽)やタンゴ、ショーロなどのラテン音楽などがある。また、ジャズやロック、クラシック、現代音楽にも使われ、幅広い表現力を発揮している。

Harmonica ハーモニカ

harmonica〔英・仏〕/Harmonika〔独〕/armonica〔伊〕

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Harmonica
ハーモニカ。ポピュラーな楽器ながら表現力が豊かで独特な音色を持つ小さな吹奏リード楽器。

リード・オルガン属の最小楽器。紀元前3000年にはハーモニカの原型となるリード楽器が存在したとされるが、現在のハーモニカの形になったのは1820年頃である。別名マウス・オルガン、マウス・ハープ。後者は主にブルース・ハーモニカを指す。息を吸ったり吹いたりすることによってフリー・リードに振動を与え発音させる楽器。旋律と和音を吹けるものと、ブルース・ハーモニカのように基本的には単音のものとがある。親しみやすい楽器ながら表現力は豊かで、様々な奏法・技法がある。通常小編成の合奏程度ではまったく問題ないが、その楽器の構造上、決して音量が大きいわけではないので、大きな会場でのアンサンブルなどではマイクを使い音を増幅させて鳴らせるといった工夫が必要である。

Tango Accordion タンゴ・アコーディオン(バンドネオン)

Bandoneon〔英・西〕/Bandonion〔独〕

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Tango Accordion
タンゴ・アコーディオン。いわゆるバンドネオンで、アタックが強く深みのある音色を持つ。

1840年頃ドイツで発明された、タンゴを奏する時に使用するアコーディオン。一般的にはバンドネオンと認識される楽器で、音域は3オクターブ、イ長調に調律されるのが一般的である。アコーディオンと同属の楽器だが、ピアノ式アコーディオンのような鍵盤はなく、蛇腹を伸縮させながらボタンを押して旋律や和音を発音する。音色はアコーディオンよりも華やかで歯切れがよく、レガート奏法とともにアコーディオンでは出せない鋭いスタッカート演奏が可能という点でタンゴにより適している。元来タンゴ演奏はフルート、クラリネット、ギターのトリオが主流だったが、20世紀に入ってバンドネオン、ピアノ、バイオリン、コントラバスを中核としたものが標準構成(オルケスタ・ティピカ)となった。DTMとしてはこの楽器を特別に意識して使用する機会は少ないが、普通のアコーディオンのバリエーションとしても使うことができる音色である。