【楽器楽語事典】クロマティック・パーカッション(Chromatic Percussion)

Celesta チェレスタ

celesta〔伊〕

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Celesta
チェレスタ。鉄琴よりも柔らかで余韻もやや長く、澄んだ美しい音を発する、鍵盤を有す打楽器。

この楽器は小型のアップライトピアノに似た外形をもち、鍵盤を有すが、打楽器である。鍵盤つきのグロッケンシュピール(鉄琴)ともいうべきものである。ピアノのアクションを簡単にした仕組みでハンマーと鍵盤が結ばれており、ハンマーが鋼鉄の棒を打って音を出し、その音質は軽く優美である。記譜は実音より1オクターブ低くなされる。また、音量は小さく、鉄琴よりも柔らかで余韻もやや長く、澄んだ美しい音を発する。現在では弱音ペダルが付いているものや、マイクとアンプを内蔵しているものもある。この楽器はチャイコフスキーの「くるみ割り人形」に初めて用いられたことでも有名である。尚、日本語の発音の関係で「セレスタ」と呼ばれることもある。

Glockenspiel グロッケンシュピール

glockenspiel〔英〕

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Glockenspiel
グロッケン。いわゆる鉄琴のことで、打楽器群においてこの楽器の高音域音色の役割は大きい。

通称グロッケン。いわゆる鉄琴のことで、調律した金属板をピアノの鍵盤の位置と同じように配列し、ケースを兼ねた箱に収められた打楽器である。下方に共鳴筒をつるしてスタンドに据えるものや、ペダルで余韻を消すことができるタイプのものもある。バチはしなやかな棒で、バチ頭にはシンチュウ、硬質プラスチックなどの小球がつけられている。この楽器はドイツの軍楽隊で使われた「ベル・リラ(Bell-Lyre〔英〕・Lyra〔独〕)」がオーケストラ用に改良されたのが起源と言われている。音色は金属的な澄んだ音で、余韻は短い。管弦楽では特殊な効果を添えるのによく用いられる。

Musical Box ミュージカル・ボックス(オルゴール)

musical box〔英〕/orgel〔日・蘭〕

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Music Box
ミュージカル・ボックス。日本ではオルゴールと呼ぶのが一般的である。

ミュージカル・ボックス。またはミュージック・ボックスとも言う。日本では一般的に「オルゴール(orgel)」と呼ばれるが、この呼び方は日本独特のものである。ちなみにこのオルゴールという呼び方は、江戸時代にオランダ人によって紹介されたもの。ドイツで「Orgel」というとオルガンの事を指すので注意が必要。XGやGSといったMIDI音色拡張規格での音色にはこの「ミュージカル・ボックス」とは別に「オルゴール」という名前のいわゆるオルゴール音色があったりするが、本来はこの「ミュージカル・ボックス」を指す名称である。発音原理・機構としては、小箱に装置したピンを植えた円筒の回転により、金属の櫛状の歯を上下させて発音するというもの。その起源は、14世紀頃のベルギーやオランダの自動的に鳴るように工夫された教会の鐘(カリヨン)にあったといわれている。大きさも大小様々で必ずしも小さいものばかりではない。またオルゴールは、予め音を作ってあるものを再生する「再生装置」であるという点が、他のどの楽器とも違うことに注意したい。これは他楽器のその場でリアルタイムに任意の音を出して奏するものとは根本的に違う。よってその他の楽器との生合奏などで使用されるといったようなことはまずありえない。音量は極めて小さく、音色は独特な金属音で、やさしく、深い音色である。

Vibraphone ビブラフォン

vibraphone〔英・仏〕/Vibraphon〔独〕/vibrafono〔伊〕

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Vibraphone
ビブラフォン。グロッケンシュピールよりやわらかく余韻の長い音が特徴の鉄琴。

グロッケンシュピールの一種で、木琴のマリンバに相当する打楽器。グロッケンシュピールより音域は低く、ちょうど中音域をカバーする。金属の音板がピアノと同じように配され各音板の下には共鳴管が付けられている。共鳴管に付けられた電動ファンによって音の余韻にビブラートがかかり、この楽器独特の音色を生み出す。このファンは共鳴管の中で1本の軸に配列された金属の円板で、モーターで回転させる。昨今のビブラフォンにはこの回転速度を調整できる機能がついているものが殆どで、この速度を変えることでビブラートのかかり具合を調節することができる。また、中央下部にあるペダルにより余韻をコントロールすることもできる。先がフェルトやゴムなどの柔らかい素材でできているバチで金属の音板を打つので、共鳴作用が大きく、余韻が長いため、マリンバのように同音連打する必要がない。

Marimba マリンバ

marimba〔各国共通〕

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Marimba
マリンバ。響きが豊かで丸みのある音色が特徴の上級木琴。主に中低音域を鳴らす楽器。

アフリカから中南米にもたらされた木琴で、それから現代化されたいわゆるコンサート・マリンバは、半音階の木製鍵盤の下に共鳴筒が付いた音域の低い大型の木琴で、管弦楽や洋楽、小編成の合奏やソロ演奏に至るまで幅広く利用されている。コンサート・マリンバは中南米からアメリカ合衆国に導入されてから、共鳴筒が長いものはU字型に曲げるなど見た目も改良され、音色や音域も中南米のものとは若干異なる。ヨーロッパでは「カッファー・ピアノ(Kaffir piano)」とも呼んでいる。シロフォンのように鋭く響きの少ない音色とは違って、響きが豊かで丸みのある音色である。尚、音板に金属を用いたマリンバ、「マリンバ・ゴングズ(marimba gongs)」というものもある。

Xylophone シロフォン

xylophone〔英〕

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Xylophone
シロフォン。いわゆる一般的な木琴のことで、固くよく通る音が特徴。音は高音域を発音する。

調律された木製の音板をピアノの鍵盤と同じように配列した鍵盤打楽器で、一般的には木琴と呼ばれる。発音の関係で「ザイロフォン」とも読む。多くのものは音板の下に共鳴筒、音質や音程を調整するために音板が弓形になっている。鮮明で歯切れがよく持続しない特徴ある音が、音楽表現において強調される。音階を活発に上下させたり、グリッサンド、トレモロ、4本バチによる和音奏法など効果的に使われる例がたくさんある。

Tubular Bells チューブラー・ベルズ

tubular bells・chimes〔英〕/cloches tubulaires〔仏〕/campane tubolari〔伊〕

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Tubular Bells
チューブラー・ベルズ。いわゆるチャイムのことで、主に管弦楽において使用される打楽器。

いわゆるチャイムのことで、通常直径4センチほどの金属製の管が18本、わくに下げられ半音階に調律されているもので、木製か革を硬く巻き付けたハンマーで上端部を打つ。足元にペダルがあり、これを踏むことで余韻を消すことができる。音はいわゆる教会の鐘のような音で、音量の変化も豊か。艶やかで伸びのある高音域を持ち、オーケストラの中でもよく抜ける音色を持つ。一口にチャイムといっても歴史的なものを含めるとその形態は様々であるが、一般に西洋音楽でチャイムという場合はこのチューブラー・ベルズ(俗に言う「チューブ・ベル」)のことを指す。名前は教会の鐘の音を模したところから由来している。

Dulcimer ダルシマー

dulcimer〔英〕/Hackbrett・Schlagzither〔独〕/tympanon〔仏〕cimbalom〔ハ〕/salterio tedesco(cembalo)〔伊〕

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Dulcimer
ダルシマー。ペルシャの楽器でハープシコード(チェンバロ)によく似た音色を持つ弦楽器。

アメリカ合衆国南部とヨーロッパの全域に存する弦楽器。小さなハンマーにより発振する長方形のものが主だが、スウェーデン地方の洋梨形のものを弓で奏する場合もある。小さなハンマーでピアノの内部の弦を直接叩くようにして奏する。起源は中近東で、その移入は(1)12世紀のスペイン及び西ヨーロッパ、(2)ジプシーによりトルコ、ハンガリーに「チンバロン」の名で、(3)18世紀初頭頃中国に「揚琴(yan ch'in)」という名で行われた。音色はハープシコード(チェンバロ)によく似ており、音の減衰が早い。合奏などでは使用されることはなく、独奏用の楽器である。